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近年の傾向

個別労働紛争解決促進法の施行(従業員による労働基準監督署への相談の増加)

何と言って一番大きい事件は平成13年に日本の労働状況を左右する個別労働紛争解決促進法が施行されたことです。これは労働者による企業の不当解雇や未払い賃金をめぐる訴訟が多発していることを受け、裁判を簡略化、スピードアップ化を図るため、都道府県労働局の総合労働相談センターによる調停を図る制度です。これは専門家立会いのもと双方の言い分を聞き、調停を進めるというものです。これは強制力こそないものの民事上の効力を持ちます。

平成13年には25万件だった相談件数が平成15年度には73万件にまで2年で約3倍に伸びています。これだけ見てもこの法律がいかに労働環境に影響を与えてるかがわかります。

法律が施行されたとはいえ、なぜそんなに労働相談が急増しているかというと、一番の原因は労働者の団結意識の低下です。その証拠として、労働組合の組織率は平成15のデータで19.6%と、一般的に労働組合の生命線といわれてきた20%を割り込んでいます。これにより従来では集団で労使交渉していたものが、個別での労働紛争に変わってきています。
それはつまり、従来の企業>労働者ではなく、企業=労働者という勤労観の変化(仕事をライフワークの一つとして考える)により、企業への帰属意識が減り、個の権利を主張する傾向の表れだと思われます。

さらにもう一つの理由は急速なインターネットの普及により情報が入りやすくなったことがあります。試しにインターネットで「解雇」と検索してみてください。辞めた後に企業を訴えるための証拠を集めるサイトから、会社からうまく解雇手当をもらうコツまで幅広く検索されます。

つまり、現在は就業規則は労働組合に変わるものとなり、労働者から企業が訴えられた場合、就業規則に定められていたかどうかが、決定的となるのです。

賃金不払い残業対策要綱の策定

近年大手企業の未払い賃金の訴訟が多発しています。消費者金融のT社や最大手ファーストフードのM社などは、従業員により未払い賃金の支払い訴訟により、数十億の未払い賃金を遡って払わされています。
このようなことに関しても、就業規則にどの時点まで通常の賃金に含まれ、どこから含まれないのかが明確でない場合、労働者はそれを証拠として訴えることが可能です。
さらに明文化されたものである以上、判断もそれをもってなされるわけで、企業側にしてみればその責任は免れないことになります。

以上の2つの理由により就業規則の役割が増加しています。まとめると

  1、H13個別労働紛争解決促進法の施行
     →労働者による総合労働相談センターへの相談が急増中(H15年62万件→H17年82万件
       内、労働者による相談6割)
     つまり、紛争調整委員会へのあっせん申請や労働裁判の増加。
     →就業規則による企業の防衛が必要
  2、H15賃金不払い残業対策要綱の策定
     →労働基準監督署による不払い賃金の集中的な取り締まり。
     →最大手消費者金融T社やファーストフードM社などの賃金支払い命令へ
    →就業規則に自社にあった労働条件を設定する必要性