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作成時の注意点

●労働基準監督署や保険会社などの就業規則のテンプレートは危険!
  就業規則を作る際に、労働基準監督署や保険会社から貰ったテンプレートをそのまま使用していることがあります。多くの場合、税理士さんから貰ったりするようですが、これはかなり危険です。
  本来、労働基準監督署の役割というのは、労働者を守るということです。ということは、労働基準監督署の就業規則モデルというのは、主に労働者有利にできています。何もそこまで書かなくても。。みたいな。
  ですから、仮に労働基準監督署やそれを流用した保険会社や税理士さんのテンプレートはかなり企業側が不利なものとなっています。

   いくつかの例をあげると…
    ・割り増し賃金…就業規則モデルには残業したらとありますが、法定労働時間以下なら不要です。
    ・休日…完全週休二日制になっていますが、原則1週間に1日で大丈夫です。
    ・解雇事由…解雇はその会社毎、経営者のお考え毎に異なってくることと思います。
           就業規則に列挙した事由以外での懲戒解雇は不当解雇となります
            (もちろん定めがあっても合理性がなければ無効ですが)

  ここに挙げたのはほんの一例ですが、就業規則を利用することで、企業を不当労働者から守り、無駄な経費を合法的にカットすることが可能です。

●本則だけを作って、アルバイト・パート規定、派遣規定を作らない
 テンプレートをそのまま使っている会社に多いのですが、パートやアルバイトを多数雇っているのにも関わらず、就業規則は正社員用の本則しかない場合が結構あります。そのような場合、パートやアルバイトも原則、正社員と同じ就業規則が適用されることとなります。例えば、退職金に関して事業主はパートやアルバイトに払う必要はないのではないか、と当然に考えていたとしても、その規定がなければ正社員同様、退職金を払わないといけない可能性がでてきます(本則に退職金の規定がなされている場合)。

●個人情報の過度な収集は不可
  ご存知のようにH15年に個人情報保護法が制定され、個人情報に関する個々人の意識が急速に変わりつつあります。
  そのような中で就業規則にも(特に古いものには)新規採用者に対し、個人情報にあたるものの提出を要求しているものがたまにあります。例えば、住民票なんかはその代表的な例です。本人確認の為とはいえ、現在、同和問題の絡みもあり、禁止されています(本人の同意がある場合はOK)

●運用可能な就業規則を
  就業規則を作成する仕事をしておりますと、事業主の方から、労働者を完全にがんじがらめにするような細かい就業規則の作成を求められることがございます。しかし、就業規則とは、それによって労働者が安心して(みんな平等に)働ける環境を築くための決まりだと考えます。ですので、難解な法律用語の羅列と完全な企業防衛型の就業規則では労働者としてはたまったものではありません。できれば簡単な言葉でわかりやすい、従業員が困ったときに就業規則を見て解決できるような、会社のマニュアルとしての就業規則を作るのが理想だと思います。

●できれば経営者ご自身で作成の指揮を
  就業規則は休日から交通費、有休まで、労働者の働く環境に影響する基本的なものです。おわかりかと思いますが、従業員は自分の不利な就業規則は作りません。もちろん手放しで任せる方はいらっしゃらないとは思いますが、できれば経営者ご自身が規定一つ一つをチェックしながら作成していくのが理想だといえます。

●改正にも対応する
  
労働関係の法律は非常に頻繁に改正されます。ほぼ毎年のように。これはあまり知られていないのですが、就業規則には変更があった場合の作成義務と変更義務が定められています。つまり、変更ありきとして考えれています。たまに一度作って、何十年もそのままにしている会社がありますが、その場合、従業員につっこまれれば確実に不利になります。近年の解雇の限定列挙や定年の延長など大きな改正がありましたが、今後も労働契約法の制定、割増賃金の増加などさまざまな動きがあります。毎年の変更に対応していかなければならなくなっています。

おまけ 就業規則は誰が作るか

・社長…これは理想です。社長はその会社の経営方針や理念、さらに従業員にこうあってほしいという内容を盛り込むことができます。しかし、就業規則は市販の作り方の本を読んでも一朝一夕にはできないでしょう。なぜなら就業規則には細かな労務管理の知識が不可欠だからです。たとえばある一つの文言を入れたことで、他の箇所でつじつまが合わなくなるということが日常茶飯事です。就業規則は全編にわたって深く関連づいてます。これを理解するように何十時間も勉強するのか、それともアウトソーシングするのかは、経営者のご判断となります。

・人事担当…ある程度の規模になれば総務や人事の人間に作らせることがあると思います。しかし、ここで注意して欲しいのは総務や人事の担当も所詮は従業員。自分に不利な文言は避けるのではないでしょうか?

・テンプレートをそのまま使う…インターネットや労働基準監督署、保険屋や税理士の先生に頼めば、就業規則のテンプレートを貰えるでしょう。しかしここで注意して欲しいのは、労働基準監督署は労働者寄り、保険屋や税理士の先生は労務管理のプロではないということです。つまり、労働基準監督署のテンプレートは全職種、全業態にあてはまるような最大公約数的な就業規則なのです。

つまり、自社では到底支払えないような福利厚生や休日が設定された労働者寄りのものとなっています。これを後から気付いて変更しようとしても、その場合には全従業員に説明し了承を得なければなりません(法的には不要ですが不協和音が生じるのは必至)。では最初から設定しなければよいではないかとお思いになるかもしれませんが、今度は逆に労働基準法に抵触しない最低条件を守りつつ、無駄なものはカットするというかなり高度の労務知識が必要となります。他に、インターネットや保険屋や税理士の先生のテンプレートがありますが、これらの場合はもしかしたらもっとひどいかもしれません。おそらく労働基準監督署のものを流用してる場合がほとんどだと思いますが、その中にはかなり古いものが含まれていることもあります。労働関連の法律はかなり法改正の激しい分野で毎年なんらかの大きな改正があります。例えばH16年には解雇に関して大きな法改正がありました。解雇する場合にはその事由を就業規則に明記しないと解雇は不可能になりました。これ一つとっても少し古いテンプレートを使ってたがゆえに解雇できず、解雇手当を30日分支払わなければならなくなるという事態になります。

就業規則はただの紙きれだった時代は終わりました。個別労働紛争が急増している今、就業規則は企業を守るためのツールになりつつあるのです。就業規則に書いてあれば、その内容を履行しなかった場合、労働者の優位となる決定的な材料を与えることになります。